ボイスコミュニケーティング協会の『VOICE』

VCAメンバーによるコラムです。

VCA新聞 コラム vol.15「安易な思いつきは邪魔で時間の無駄説」 by Kennyキムラ

何かを決めなければいけないときに、

「安易に意見を求めるとろくなことにならない」ことが多いな、と感じています。

人のご意見を大切にするというコンセプトのVCA代表としての言葉としては「?」だと思いますが(笑)。

そんな前フリで話を始めます。

 

「意見」は「思いつき」とはまるで別次元。

思いつきはなんとなく閃いたことであって、物事に向き合って考え出した「意見」とはまるで違う。そもそも同じ土俵に上げること自体が間違い。

「思いつき」を採用して良いのは、自分自身が創り出すもの…クリエイティブなものだけ。

音楽なのか美術なのか物書きなのかは問いませんが、自分自身が100%責任をとれるアーティストだけが採用して良いのが「思いつき」です。それが間違っていたら自分が責任をとれば良いだけの話。

でも、それを勘違いしている人のなんと多いことか。特に権力者…権力(金?) があれば「思いつき」を誰にでも無理強いして良いと思ってる、勘違いも甚だしい輩も多いですね。

VCAが大切にしようと思っている「意見=その人の想い」と真逆にあるモノです。

 

実はビジネスの世界では、そこに苦しめられている人たちがすごく多い。会社の中でも上司の「思いつき」に振り回される部下たちも多いことでしょう。しっかり裏付けがあるならともかく「単なる思いつき」はかなり邪魔であり時間ばかりが無駄に経過する。

 

みんなの合意をとりながら民主的に物事を進めているときに、一応皆さんにご意見を伺うという場面は多いと思います。

そこでよくあるのが「なんとなく思ったんだけどさ、こういうのってどうかな?」みたいな場面。これは意見ではなく「その場の安易な思いつき」です。

聞いてしまった手間、皆さんはどう思いますか?なんてフリをします。

そうするとなんやかんやと皆さんのコメントが出てくるわけです。

皆さん、その思いつきに対してイメージを膨らませてメリットやデメリットを考えて出てくるのは「ご意見」です。

たいていの場合は、安易な思いつきなんてものはデメリットが多く最終的に却下されるケースがほとんど。その所為で無駄な時間を使わされて、決めるべきことが有耶無耶になりやすくなる。よくありませんかそういうこと。自分はそういうことが起こる大抵イラついてます。

 

でも時々同じセリフ…「なんとなく思ったんだけどさ、こういうのってどうかな?」で議論をしてみたら、「そのご意見すごく良いですよね!」となることも希にあります。

でもたいていの場合、セリフとしては「安易な思いつき」を装って格好つけていますが、実はその人としては、しっかり裏付けがあったり前もって考えられている「ご意見」である場合が多い。

そこが見抜けない人は「ただの思いつきが採用された!この人すごい!」なんて思っていたりしますが、裏を返せば違う。ちゃんとしている人が事前にしっかり考えてあることを、タイミング見計らって格好つけて「思いつき感」を演出しているだけ。そういう方には、もっと事前にご意見をしっかりと伺ってから採決するという手順を踏むべきなんです。

 

民主的手続きって時間がかかりすぎてるので、むしろ今の時代には合ってないかもなと感じたりもしています。

ネット社会の中で、それを利用して国が大きく発展し世界をリードしている中国は意思決定から実行までのプロセスがものすごく早い。それが良いか悪いかは政治思想的も含むので、また別次元の話。自分は中国の政治スタイルを肯定しているわけではありません。中国はトップダウンのメリットを表す解りやすいサンプルに過ぎません。

 

物事を進める場合、

民主的手続きなのか?トップダウンなのか?は、それぞれのメリット デメリットを理解した上で使い分けられれば、すごく良いと感じます。

でも今それは無理…まあ揉めますよね。ハラスメントとかコンプラとかが曖昧な時代だったら、以外とそのバランスはとれていた気がするんですが、もうそこに戻るのは絶対無理だろうと思って諦めてます。

なので好きにしなさいと。

ただし無駄な時間ばかりが過ぎていくことを覚悟してね…というところかな。