ボイスコミュニケーティング協会の『VOICE』

VCAメンバーによるコラムです。

VCA新聞 コラム vol.4「肩書きの話」 by Kennyキムラ

 もしかしたらもう「YouTubeプロデューサー」というコトバ…肩書き?はすでに古いというか、飽きられてきているのかもしれません。

 でもまー、どんくさい国ニッポンの中だったらまだ通用するような気もしていて。なので2022年は「料理研究家」という肩書きに加えて「YouTubeプロデューサー」という肩書きも自分に加えようと思っています(笑)。←この肩書き…これも本当はどうでもいいと思っているのですが、特に日本人は肩書きに弱いですね。海外でおねーさんの店に行くと「シャチョサーン!」と呼ばれイジられるのもその証。

 

 そもそも大日本帝国時代の軍人の階級がかなり細かくなっていて、少しでも位が上には死んでも刃向かえない。刃向かうと殺されるし刃向かったら殺してもかまわないくらいの絶対的なものでした。団体を統率するためには、そういうものが時に必要なのですが。それがやがて会社の中での役職になり、昭和の時代には猛烈サラリーマンが寝る間を惜しんで働くことで高度成長に繋がり日本は見事な戦後復興を果たすわけですが、会社の中ではエリートが出生し肩書きがどんどん高くなり、反対に万年平社員という言葉も生まれ格差が広がっていくわけです。そして20世紀末あたりでは、カタカナ職業…例えばデザイナーとかプロデューサーとかがもてはやされ憧れの職業になります。

 

 まあ自分もその頃社会人になったこともあり、初めて入った会社での肩書きはレコーディングコーディネイターというもの。なんとなくかっこいいというか業界っぽいというか。そしてしばらくするとディレクターという肩書きになりました。その名刺を渡されたときは、地下鉄の駅のホームで、そこにいる身も知らぬ全員に名刺を配って「俺はディレクターなんです!」と言いふらしたくなったことを鮮明に覚えています。

 

 雇用されることから抜けだし、フリーのディレクターになったときは26才くらいの時。TBSで1年半くらい食レポ系の番組を担当し、そのころは地方回り…特に北海道によくいってたのですが、その土地の飲み屋さんとかで名刺を出すとおねーさんだけでなく、その土地の有力者的な方々が集まってきました。

「すげーな、東京のテレビ屋さんに会った!」とよく言われたものです。

 まあこれはディレクターという肩書きよりもTBSのロゴがものをいっていたんだと思いますが、そのおかげで良い思いもいっぱいしましたし、美味しいものをたくさん食べることができましたし、人には言えないようなエピソードも山ほど作ることができました。

 30歳を超えたときに最初の会社を起ち上げて、社会的には社長という肩書きがつくことになりました。

 なんだかんだでこれまでに3つ会社を起ち上げたのですが、名刺にはこれまでに一度も「社長」と記したことはありません。せいぜい代表取締役まで。いまは気取ってCEOと書いていますが、どうもアジア地域の飲み屋のおねーさんが叫ぶ「シャチョサーン」のイメージが強過ぎるせいか、「社長」と呼ばれることが本当にイヤなのです。

 仕事柄「監督」と呼んでいただくことがあるのですが「監督」は荷が重いといいますか「僕なんかそんな器じゃございません」と思っちゃう。今でも現場によっては「監督」と呼ばれたりもしますが、それをイヤがりはしないものの「くすぐったい」というよりかなり恐縮してしまいます。

 バスケチームを率いてもいるので、その現場で「監督」と呼ばれることは全く気にしないんですけどね。VCAという協会では「代表理事」という肩書きを持っていまして、これも全く気にならない。「社長」と呼ばれるよりも社会的な威厳がありそうな気がします。とはいえ気分が良いとか悪いとかいうことでもない。

 

 大学で学生たちに映像制作について教えたりもしているので「非常勤講師」というのも自分の肩書きの一つです。でも木村講師と呼ばれることはなく、教室では「先生」と呼ばれ、ちょっとした文字のやりとりでは木村先生と書かれたりしています。これも日常的には呼ばれ慣れてないので、学生に「先生」と呼ばれても「え?オレのこと?」みたいな感じは今でも変わらずです。

 世界規模のハーレー団体日本支部で「副総長」というのもあって、英語表記なので「VICE PRESIDENT」という肩書きも持っていたりしますが、日常的にはそう呼ばれることもなく、仕事用の名刺やWebサイトにそれを表記することもありません。

 ダイビングの「インストラクター」の資格もありますが、これも普段は表記しないしそう呼ばれることもない。そういえば身近なバンド仲間や音楽仲間…特に先輩方からは「バンマス」と呼ばれることもありますが、それは肩書きというより仲間内でのニックネームみたいなものかなと。

 

 こうやって肩書きという一つのテーマでだらだら書き上げてみると、結構な数の肩書きを持っているんだなということに気がつきます。名刺にはそんな中から映えそうなものだけを書いてあります。

 そんな中で名刺に記す肩書きでほしいものが「料理研究家」と「YouTubeプロデューサー」。料理に関してはプロではないけど、間違いなく50年以上研究していて今でも作るときには研究をしまくっているわけですから「料理研究家」を名乗っても嘘じゃないし、そもそも資格のようなものがあるわけでもないので勝手に名乗ってしまえば良い…そういう職業いっぱいありますよね○○コンサルタントみたいな。

 もうひとつの「YouTubeプロデューサー」は半分シャレなのですが、本職でもプロデューサー的なことをしばしばやっているので、あえてYouTubeとつける意味があるのかどうか?です。

 これからのご時世的にはただ「プロデューサー」と書かれてもピンとこない。さらに「YouTubeプロデューサー」の方が絶対にウケが良いはずなんです。

 VCAのチャンネル、個人の『えいぞー創ろう塾』、そして元Rの番組と3つもプロデュースしてるので嘘じゃないし。その方がウケるなら、それで良いじゃん!ということ。

そのうちブームのようなものは過ぎ去るので、そしたら元に戻せばいいだけの話。

 

 ということで、次に名刺を新しくするときにはこの二つを入れようと思っています。